某今人気(?)のタレントの生い立ちとちーちゃんの生い立ちがとってもかぶっていることに気がついてしまったので、本編終わって付き合ってる二人の日常トーク。
※時事っぽいことをやるといろいろ合わなくなるのは百も承知だぜ!
「神崎神崎」
妙にはしゃいだ五十嵐が、ぱたぱたと俺の方にやってきた。でっかくて細い草食動物(例えばキリン)みたいな形をして、その足音は小動物のように軽い。
「今度忘年会あるだろ、ミッキーの」
二人が一緒に所属している学園祭実行委員会・通称ミッキーの忘年会は、十二月の半ばにある。勿論二人とも参加の予定だ。五十嵐は酒をまったく受け付けない体質だから飲み放題の場でも損をしているのだが、いつもにこにこしているから皆が楽しんでいる現場に居合わせているだけで楽しいのだろう。
「ああ」
「で、なんか芸やれって言われてるじゃないか」
「あ~……」
すっかり忘れてた、という顔をした俺に対して、五十嵐は「でね、俺、物真似しようと思うんだよね」と続ける。
「も、物真似? お前が? できんの?」
「できる。練習したからその成果を見てほしいんだ」
わかった、と言うと「ちょっと準備してくるから待ってて」とがさごそと部屋の片隅で金髪のカツラを被り始めた。それから何やらメイクをしている様子。五分少々待っていると、「できたから、いきます」と五十嵐が言うので「どうぞ」と答えてやった。
くるっと振り返った五十嵐の額にはヘアバンド、頬と鼻のあたりは赤く、そばかすメイクがされている。
「ちーちぇるですっ」
「……お前、それでいいのか?」
「ちぇるちぇるランドからきました~や~だ~京都じゃな~い~。ちぇるちぇるランドですう~」
真面目な五十嵐が不思議ちゃん系読者モデル(?)の物まねをして、しかも自分の「千尋」という名前をもじったり出身地を自分のものにしてみたりと、工夫までしてきたことに、頭痛がした。
「やすりん~」
「おい俺まで巻き込むな!」
「……だって神崎、隠し芸のネタ、考えてないでしょ?」
見抜かれている。
「それなら俺と一緒に、やす&ちーちぇるやった方がいいよ。ね? 一緒にやろう?」
「……つーかなんで俺が女装だ!」
「俺がぺこちゃん役やってもいいけど……うーん、ちひりんにやーちぇるでしょ? 語呂悪くない?」
駄目だ、勝てない。
俺は五十嵐のやる気に引きずられ、金髪にメイクもばっちり(これは千紗ねーさんにアドバイスをもらって自分で頑張った)して、忘年会に出ることになってしまった。
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