千秋楽を観劇しました。今日は3階席だったのですが、前回(1階席前方端)よりも見やすく、セリフも聞き取りやすかったです。が、ラストのライトが点滅するのは、3階席でも目がやられたので、地方公演では軽減されていてほしいですね。
セリフ聞こえて、見切れじゃなければもうちょっと面白く見られるのかな、と思ったのですが、やっぱり趣味に合いませんでした。
あとアンコールの前に宅間さんが、「(前説で絡んだ)碧斗のファンの中学生~! お、いたか~。ハグしてもらえ、ハグ!」って煽って、碧斗くんが結局、中学生の女の子をハグしたみたいなんですけど(3階から見えない)、ちょっとそれはさすがにないわ……と。ちょっと私の嫌いなO村おじさんと同じ臭いを感じるというか、むしろ今回、芝居の演出とかでもなんでもないところでけしかけたわけで、より性質が悪いような気が。
少なくとも、推しがそうやってけしかけられたとしたら、その場でアンコール見ないで帰ってたと思う。役者も嫌ですとは言えないし、ファンだって断れないし。それがたまたま性質の悪いファンだったりとかしたらどうするつもりなのか。麻里子様に対しては絶対しないでしょ? 中学生の男の子のファンにハグしろなんて言わないでしょ? 接触イベントですらハグNGなんだから、舞台でああいうことされると、本当に嫌になります。推しには安売りしてほしくないですね。
以下折り畳みで、なぜ「笑う巨塔」が「趣味じゃないなあ」になったのかの話。
※あくまでも個人の感想です。
見ながらもやもやした点はいろいろあるんですけれども、そもそも今の時代に合わない本だったのではないかと思います。今日宅間さんがおっしゃってましたが、初演が2003年ということで、もう15年も前の本がベースになっているんですね。15年前には許されていたかもしれない笑いが、今の世でも通用するのか、というところ。
ヒロインのふみちゃんは、幼い頃に「デブデブ」と虐められているところを庇ってくれた富雄のことをずうっと好きだった。でも、その富雄はふみちゃん(だと本人は思っているけど、実際はえりちゃん)のことを「へちゃむくれ」と言って顔をぐちゃぐちゃにしたり、「すげえ腹だなあ」だの「ぶくぶく太って」だのと、顔や体型という、人間が一番コンプレックスに感じる身体的特徴をあげつらって、観客の笑いを誘う。そこにキャラクターとしての一貫性を感じなかった。
また、享恭くん演じる蓮太郎も、「政治に携わる人間が変わらなければ、政治は変わっていかないんです!」と情熱的にまっすぐに述べたのと同じ口で、恋人のフリをすることになった相手がえりちゃんだということを知ると、「あのへちゃむくれかー!」と、嫌そうに叫び声を上げます。
もしも蓮太郎が、最初から女を見下していたりとか、そういうクズ野郎な性格だったとしたら、別に何とも思わなかった。そういうキャラクターだから。けれど、誠実そうな蓮太郎の口から見た目で人間をカテゴライズするような言葉はちょっと聞きたくなかった。
私はえりちゃんと似たような体型だし、顔だって正直、美人とは言えない。だからえりちゃんに対するあの仕打ちを、他の観客と一緒になって、大笑いすることはできなかった。今日は前回よりも、真顔でいる時間が実は長かったです。セリフが聞き取れないのと、見えない部分が多かったから面白くなかったのかな、と前回見たときは思ったけれど、違いました。趣味に合わないと思った理由は、もっと根本的な部分で、宅間さんが面白いと思うものを、私が受け入れられないだけでした。
※※※
バラエティもそうですが、デブだとかブスだとか、ハゲだとかで笑うのって、そろそろ古いと思います。
以前別ブログでも書いたんですけど、太っている奴は明るくてノリがよくなければダメっていうのが本当に嫌。デブだと弄られても、ほっぺたつままれても腹肉つままれても、にこにこ笑っていないと認められないという風潮が嫌。それを助長しているのが、テレビ番組だと思う。
どうしてわざわざ高いお金を出して、非日常を味わいたいと思って見る舞台で、人を傷つけるような笑いを見なければならないんだろう。
太っている人間にも、自尊心はあります。デブだとからかわれ、本当は泣きたいのに笑っているうちに、すり減っていきます。それは自分がされているときだけじゃなく、誰かがされているのを見ているときも。しかもその場のノリに合わせて一緒に笑っているときなんて、最悪です。
特に今回は、えりちゃんの自虐ではなく、異性である富雄が彼女の体型や顔について言及しているのが、最低でした。
※※※
ちなみに前回書かなかったけれど、アフタートークのときに宅間さんが、「前回はでっぷりした看護師だったんだけど、今回に関してはデブは二人もいらない」と言っていたのもショックでした。それ、観客に対して言う必要ある? 役者さんに言う必要も、勿論ないけどね。
twitter検索すると、台本を絶賛するツイートが多く見られるんで、こう感じているの私だけかな、って一瞬思ったのですが、賛同してもらえたのでちょっとほっとしました。
誰も傷つかない笑いって、本当に難しい。でも実現不可能ではないと思う。
今後コメディを創作することがあるかもしれないので、肝に銘じておきたいと思います。
PR
今回私も笑う巨塔の観劇をしまして、同じような感想を抱いておりました。こうして文章にしていただき同じ感情を抱えていらっしゃる方がいて安心しました。褒めることだけが感想ではないと思いつつ書くことは難しいのですごくすごくありがたかったです。
これからも映画や舞台の感想を拝読するのを楽しみにしております。
長々と失礼いたしました。